瞬間を抱きしめよう

好きなものを好きなだけ

君に贈る、100の愛

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♡ 2020.10.25 ♡

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るぅとくん、22歳のお誕生日おめでとうございます!

 

お誕生日にやりたいことがあり、少しずつ書き留めてきました。

ドラマ『僕らは奇跡でできている』で話題になった、「すごいところ100個」というものです。

 

だいぶ長いのですが、だれか1人にでもるぅとくんの良さが伝わるといいなあ、という気持ちを込めて文章を作成させていただきます。

 

では、いってみます!

 

 

 

001. 1998年10月25日に生まれてきてくれました

002. 2015年4月19日に歌ってみたを初投稿しました

003. 2016年6月4日にすとぷりへ加入しました

004. しゅっとした鼻が綺麗です

005. びっくりするくらい横顔が美しいです

006. 唇の端だけ上がったときハムスターみたいで可愛いです

007. なんだか眉毛がかっこよくなりました

008. 日々トレーニングをしてぷっくりになったその涙袋が綺麗です

009. 右目の涙ボクロがセクシーです

010. 手の爪をきちんと切っていて清潔感があります

011. ブリーチしてから爽やかイケメン度がぐぐっと上がりました

012. 黒髪タラちゃんの男子高校生感も可愛かったです

013. とても細いけれど肩幅は狭すぎないのでしっかり男の子です

014. 脚が細くて長くてモデルさんみたいです

015. おててがゴツゴツしていて男らしさを感じます

016. 握手会ではその手で優しくあたたかく包み込んでくれます

017. 走るのがとても速いです

018. 日に焼けるくらいサッカーをがんばりました

019. 幼い頃から周りを見ることができています

020. なんだかんだ弟くんと仲良しで、お兄ちゃんとして色々とやってあげています

021. 遊べないときはお母さんと一緒にテレビを見ました

022. あるドラマを見ている両親の反応を見て悲しませたくないと感じた結果、反抗期を来させませんでした

023. 愛犬まいちゃん、そして新たな愛犬みるくんを可愛がっています

024. 体は細いけれどよく食べます

025. パラパラのチャーハンを作るのが得意です

026. お寿司が大好きです

027. お寿司屋さんでバイトをしました

028. バイトリーダーもがんばりました

029. 礼儀、そして「お仕事」に対しての価値観がしっかりとしています

030. 学校→無通知→バイト→深夜枠というハードなスケジュールをこなすことにより私たちを全力で楽しませてくれました

031. 無通知は日によりましたが深夜枠は欠かしませんでした

032. 1回だけ寝てしまってできませんでしたが、いつもの時間にリスナーがした「わこるぅと!」「おつるぅと!」のコメントを見てありがとうと言ってくれました

033. どんなに人が多くても名前を呼び終わるまで枠を続けました

034. お正月にはきちんと実家に帰り、親戚にお年玉をあげています

035. 軽音楽部に入ったのですが先輩からの指導はなかったので独学でがんばりました

036. 1つだけでなくギター、ボーカル、ドラム、キーボードというたくさんのパートを任されました

037. 初めお父さんにギターをもらった時は全く弾けなくて諦めかけたのにその後がんばって練習し音楽の道を進み、今では作曲までしちゃいます

038. 自分用だけでなくすとぷり用の曲もたくさん手がけています

039. 専門学校では1年生の時に人より多くの単位をとりました

040. ふりかけご飯がおともだちだったので料理は苦手なのかと思えばマカロン作れちゃいます

041. そしてお高いコロコロを持っていて女子力高いです

042. ハンカチとティッシュを持ち歩いています

043. 香水は爽やかな香りです

044. 煌めく笑顔が素敵です

045. 目がなくなるくらいくしゃくしゃに笑う顔は周りのみんなを幸せにします

046. ダークな曲で見せる、見下すような狂気的な表情も惹きつけられます

047. MCで稀にするぷく顔があざといです

048. 「あざと可愛い」「爽やか」な高校生のイメージだったので昔はそういった曲が多めでした

049. がなりや大人な歌い方を覚え、かっこいい曲と色気のある曲が増えました

050. 感情表現ができるようになった!と喜んでいた頃の成長は本当にすさまじく、とくに切ない曲ではこちらまで胸が締め付けられる感覚を覚えました

051. いつでも全力でキレのよい踊りです

052. 「ダンス経験者なの?」と聞かれるほど体の動かし方が上手です

053. すとめも10のはりーはりーらぶっ!では靴が脱げてしまって、踊りながら良いタイミングでさりげなく履くという技を見せました

054. 初めてのライブでは緊張していたのでステージ端に棒立ちでした

055. 今ではステージの端から端まで移動したりぴょんぴょんしたり会場をゆっくり見渡して手を振ったりと、全身で感謝を伝えてくれます

056. 指ハート覚えちゃいました

057. なんとただの投げキッスではなく、ちゅーして遠くにぶん投げてます

058. 「今日という1日が宝物になるように」という想いを込めてライブをしてくれます

059. ずっとドライなように見えていましたが実はリスナーに対しての愛が深かったです

060. 作業が続き辛くなった時はエゴサをして元気をもらうことでまた頑張れるので「エゴサはタンパク質」「エゴサは酸素とかじゃない、地球そのもの。」と名言を残しました

061. 昔支えてくれた人がいたから今の僕がいて、今支えてくれる人がいるから今頑張ることができて、これから好きになってくれる人がいるから続けていける、と全員に感謝しています

062. 人に頼るのではなく自分で解決しようとします

063. 溶連菌にかかって歌の録音や放送など思うように活動ができない自分に嫌気がさす程、活動に真摯に向き合ってくれていました

064. 自分のことは疎かになってしまいますが周りにはしっかりと気を配り、優しくお世話します

065. 分からないことは徹底的に調べて、できないところを出来ないままにしません

066. パソコンについてメンバー1の知識をもっていて、みんなから頼られます

067. そんなるぅとくんは最年少でメンバーカラーが黄色です

068. 黄色にぴったりなキラキラ眩しい笑顔は周りの人達にときめきを与えます

069. ワンマンライブ「君と僕の秘密基地」では体調不良の子が続出したのですが、歌の途中で倒れてしまった際には歌を止めることなく横にいるスタッフに指示するという仕事人ぶりを見せました

070. 漢字が小学4年生ですが、作曲だけでなく作詞までしちゃいます

071. 初めは自分の気持ちをストレートに書き起こして、今まで応援してくれたリスナーへの感謝を伝えてくれました

072. 今では架空のストーリーを語るような歌詞まで作れちゃいます

073. 現状に満足することなく、前へ前へ、上へ上へと進むために日々努力を欠かしません

074. mixの技術がどんどん上がっていきます

075. 勉強は苦手ですがそのmixはもともと、独学でした

076. 好きなものはとことん突き詰めます

077. 何事に対しても自分の考えをしっかりと持っています

078. リスナーを自分の発言で縛り付けてしまわないようにという優しい心から、髪型や服装などのタイプを特定のものにしません

079. 決して悪口を言いません

080. 時にはメンバーのことを軽くいじる時もありますが、それはそこに至る経緯や理由が必ずあります

081. ごめんなさいとありがとうを言えます

082. 大切な人を自分のことより大切にします

083. 優しくて温かなメンバーに囲まれて活動しています

084. ダメなことはダメとしっかり言ってくれます

085. 反対に、良いところはすごいと褒めてくれます

086. リスナー1人1人のことを私たちの想像以上に見てくれています

087. 「好き」「会いたい」の気持ちを大切にしてくれます

088.色々なことをそつなくこなします

089. でもその裏には積み重ねた努力が隠れています

090. 努力する姿を見せないのは辛いはずなのにどんなに辛くても弱音を吐かず、結果で"魅せ"ます

091. 時には甘えることができるようになりました

092. たくさんの人に愛されています

093. 発する言葉やその表情には応援してくれているひとたちへの感謝で溢れています

094. 私たちが何度ありがとうを伝えても返しきれないくらいに、日々幸せを届けてくれます

095. 受験や仕事などもし1度離れなくてはいけない事情があったとしても戻って来る場所を用意してくれています

096. これまでに沢山の素敵な景色を見せてくれましたし、これからの未来も楽しませてくれようとしています

097. 半端な気持ちでは言い切ることをしないので、言い切ってくれた時には絶対大丈夫だという安心感があります

098. そしてすとめも5大阪公演では「絶対に後悔させない、絶対に楽しませる、絶対に幸せにするから。着いてきてほしい。」と間髪を入れずに力強く話してくれました

099. るぅとくんのファンでいることが本当に幸せだという気持ちを抱かせてくれます

100. るぅとくんがるぅとくんでいてくれます

 

 

当たり前のことだと感じるようなものもあるかもしれませんが、それを実行できるのは本当に「すごい」こと。

 

「誰でもできる」「いつもできてる」からそこを褒めポイントと思えなくなってしまうけれど、改めて考えると山ほど出てきます。100個に絞るの大変だった。

声を大にして、るぅとくんすごいね!えらいね!って褒めてあげたい。

 

るぅとリスナー、すとぷりすなーとして過ごす中でわたしたちが何気なく "してもらっている" 色々なことがあって、上に挙げたものの他にも、当たり前じゃない幸せが沢山隠れていると思います。

 

その一つ一つを、こぼさないように優しく両手で掬って宝箱にしまっておけるような人でいたい。

 

 

るぅとくんには本当にたくさんすごいところがあるから。私たちはそれを知っているから。そして、これからも見てるからね。

 

以前は届いていた悲しい言葉も、今はそれを塗り替えるだけのみんなの大きな、温かな愛が溢れています。

変わることを恐れず、安心して前に進んでください。

 

 

いつもありがとう。今までたくさんありがとう、これからもありがとう。

改めて、22歳のお誕生日おめでとうございます。今までもこれからも、るぅとくんのことが大好きです。

 

 

はちみつほっとミルク。

 

少し長いけれど、「応援している誰か」がいる人みんなに読んでほしいエッセイ。

 

 言葉はときに人をやさしく包み込み、ときに人を鋭く傷つける。受け手によって意味が変わってくる、ある意味変幻自在な難しい存在だ。(中略) そのことを理解できないから、人は言葉で人を傷つけるのだろうか。ケンカ中におたがいが言ってしまったなどということではなく、一方的に言葉を使って人を傷つける。相手の気持ちになれないのだろうか。自分が逆の立場だったら嫌だからやめようと思えないのだろうか。無慈悲な思いを抱いても、自分の心に留めておくことはできないのだろうか。

 

 今は匿名で言葉を届けることができる時代。そんな時代だからこそ、言葉をどれだけ大事にしないといけないか。改めて1人1人が考え直さなくてはいけないのではないか。人間の時間は無限じゃなく有限だ。その限られている時間の中で、故意に人を鋭く傷つける時間になんの価値もない。なんの意味もない。とても無駄な時間だ。西畑は自分にいい思いを抱いていない人が言葉で鋭く傷つけてこようが、有限の時間の中でそんな無駄な時間を西畑のために割いてくれてむしろありがとうという気持ちになる。異端児かもしれない。いい思いを抱いていなくても、西畑のことを思ってくれている時点で西畑の勝ちだという謎理論を展開している。

 だが何度も書くが、受け手によって意味は変わってくる。だから、言葉の重要さを考え直してみてほしい。温かい言葉より冷たい言葉のほうが目につく。100の温かい言葉より、1の冷たい言葉が色濃く見える。芸能人、著名人も人間だ。ストレスの吐き馬でも、サンドバッグでもない。どれくらいの方がこのエッセイを読んでいるかはわからないが、1人でも多くの方に伝わっていればいいなと思う。

 

 

今までどれほどの言葉に触れてきたのだろう。

どれほどの言葉で傷ついたのだろう。

 

分かろうと思っても知ることは出来ない。

悲しみも苦しみも、

100%理解出来るのは本人しかいないんです。

 

 

目立つから、といって批判を浴びせていいものではない。

それはクラスメイトのあの子も、普段行っているお店のあの店員も、街中を歩いているあの人も、みんな同じ。

誹謗中傷を当てられていい人間なんか1人もいない。

なのに、そういう環境の中で強くなってしまった。

 

 

 

応援の仕方もSNSも自由だし、自由に発言できることがSNSの良さだと言われているけれど、自由だからこそ考えなくてはならない。

 

自分が発する言葉を読む相手はいるし、どのように捉えるかは受け手。

 

 

悲しい言葉が1つでもあると心に残ってしまうほどの力がある反面、

温かい言葉が積み重なるとその力はとてつもないものになって、頑張れる理由になる。

 

言葉の力をどう使うのか。

 

今一度みんなで考え直すべきだと思う。

 

 

 

悲しい言葉より愛ある言葉が溢れるほどたくさん飛び交う世界であってほしい。

 

好きな人の目に、耳に届く言葉はどうか温かいものであってほしい。

 

幸せのためにある言葉であってほしい。

 

 

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「アイドルは儚く脆いからこそ光り輝く。」

 

終わりが来ることなんて想像したくないけれど、「終わりがあるから始まりがある」一方で、

始まったらいつか終わりがくるもの。

 

それは一瞬。

 

私自身、ずっとアイドルをしてきたあの人がメディアからいなくなるなんて今でも信じられない。

発表は夢だったのかな?って思う。

 

あの性格だからいつかふらっといなくなってしまう気はしていたけれど、いざいなくなるというのは辛い。

ずっと見てきた大切な人。

 

もちろん、思い出や感情、存在など心の中に残るものは沢山ある。

 

けれど、形としてはいなくなってしまうのがアイドル。

 

活動者も同じかな。

 

 

私たちの日常に、当たり前のように存在する「好きな人」。

 

当たり前のようだけどそれは当たり前じゃない。

 

本当に大切なものは失った時に気づく。

 

でもそれじゃあ遅いんです。

 

 

この道を選んでくれたことに感謝して、ありったけの愛を届けたい。

 

100の温かい言葉より1の冷たい言葉が色濃く見えるのであれば、1000でも10000でもふわっと優しく包んであげるような言葉を送りたい。

 

好きと伝えられる今を、大切にしたい。

 

 

 

アイドルでもアニメのキャラクターでも身近なお友達でもいい。

あなたにも「応援している誰か」がきっといると思う。

 

いつもは気丈に振る舞っていたとしても、心の中では叫びたいほど傷ついているかもしれない。

 

守ってあげたい、そんな風に改めて思うことができるこのエッセイ。

 

誰か1人にでも響いたら、とてもとてもうれしいな。

 

 

 

 

「夜桜非行」 歌詞解釈 〜桜散るネオン街に佇む一人の青年と猫〜

 

先月YouTubeに投稿された『ジェスター』から1ヶ月、2020年2作目となる新たなオリジナル曲『夜桜非行』が公開されました。

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【MV】夜桜非行 / るぅと【すとぷり】 - YouTube

 歌 :るぅと
 作詞:るぅと×TOKU
 作曲:るぅと×松
 編曲:松
 映像:檀上大空

 

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✦ タイトル『夜桜非行』

桜は日本の国花と言われており、とても美しい花です。全般の花言葉は「精神の美」「優雅な女性」。日本で桜が咲く季節、4月には新たな出会いや旅立ちといったイメージがあるためネガティブではなく、どちらかというとおめでたい感じがします。

一方、フランスにおける桜の花言葉は「Ne m'oubliez pas(私を忘れないで)」です。桜が花を咲かせる期間は2週間。とても短いものになっています。美しい花がぱっと咲いてぱっと散っていくことが美しいと同時に、儚くて物悲しい様子が表現されているのでしょうか。

昼に咲く桜も美しいですが、夜桜は暗い背景とのコントラストによって花の美しさがより際立ちます。

そんな美しい「夜桜」と並べられているのが「非行」。非行とは子どもの犯罪であり、犯罪と言われることを20歳以下の未成年が犯したら非行と呼ばれるため、主人公は未成年であると推測されます。

 

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✦ 桜散るMV

描写されている場所は新宿歌舞伎町の通り。

桜が散っているところがるぅとくんのお気に入りポイントの1つだそうですが通常、歌舞伎町に桜は咲きません。では、なぜタイトルにも曲中の描写にもここまで桜が登場するのでしょうか。それは「桜」、とくに「桜が散ること」を強調したいのではないかと思います。

昔、メールも電話も普及していない時代の最速通信手段だった電報で「成功した、うまくいった」ということを伝える時に「サクラサク」という言葉を使いました。

みなさんもテレビやCMで一度は聞いた事があるであろう嵐の『サクラ咲ケ』は、青春ど真ん中の応援ソングです。受験シーズンに励まされた方も多いのではないかと思います。

このように、「桜咲く」は良い兆候のあることを連想させる表現となっています。

では「桜散る」はどんな意味でしょうか。普通に花が散ってしまったという意味の他に、「願いが叶わなかったとき」にもこの表現を用いるそうです。類語は「達しない」「届かない」。

桜の花びらが散る様子は幻想的であるものの、悪い意味を含んでいる、ということになります。

 

 

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✦ 主人公は猫?それとも…

前作『ジェスター』を投稿した頃に「次の曲は猫の曲」と言っていたので、『夜桜非行』の主人公は猫であると仮定し解釈を進めます。

すると前足やしっぽ、シルエットの描写、多くの関連した歌詞が見受けられます。また、MV中の視点が低いため猫から見た街の様子と感じることができます。

 

↓ ここ猫みたい〜!と感じた歌詞 ↓

1番:同じ言葉も無い、見下ろす目

2番:表情とやらも〜伝わらないの、この声が恨めしいわ、同じ言葉をください

落ちサビ:同じ身体じゃない、前足なんかじゃ

 

ここで、もう1つ言っていたのが「みんなが思い浮かぶようなただの猫の曲というわけではない」ということ。一体どういう事なのでしょうか?

タイトルにある「非行」は未成年が犯罪を犯すことだと紹介しました。犯罪とのことなので、きっと夜の街で働いているのでしょう。好きな人ができたから働いたのか、働いていたら偶然見かけたのかは分かりません。

夜が訪れると後ろ姿を探し、朝が訪れると会えなくて退屈になる。主人公が好きな人に会えるのは夜だけです。

これらを踏まえると、主人公は夜の街で働く未成年の少女だと考えることができます。

夜の街で働く未成年の少女というのは、夜に外を徘徊する猫と重なるように思われます(後に説明しますが猫は通常、夜には活動しません)。本当はそうしたいとは思わないけれど、あなたのせいで夜に会いに行くの。ということです。

主人公が恋するのは一人の青年。しかし「あの薄紅より綺麗に咲きたくて」から、その青年は薄いピンクの口紅をつけた桜のように美しい女性に恋をしている、もしくはその女性に会うためにここを通る。そう考えました。主人公より年上で、大人の魅力をもった女性なのではないでしょうか。

夜桜の散る歌舞伎町で働く少女が青年に恋をして引き止めたり笑顔を真似してみたりするけれど、相手にしてもらえない。自分と相手には大きな距離があるということを人間と猫の違いに例えて描写した曲であると思います。

 

 

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✦ 歌詞解釈 ~本編〜

では、猫視点になって歌詞解釈をしていこうと思います。

 

昼を食んでは 夜が落ちて

いつもの後ろ姿探す

今日生きるだけの 糧なんかいらない

ネオンと喧騒 繕った幻想

昼が終わって夜が訪れ、いつものようにあなたの後ろ姿を探す。

「後ろ姿探す」から読み取れるのは、相手が来てくれるのではなく、自分から寄って行くということ。相手は自分のことなんて見ていません。相手にしてもらえません。主人公の熱量と青年のそれが異なるように感じます。

「今日を生きるためだけの活力」だなんて今日限りのものじゃなくてあなたの気持ちが欲しい、あなたが欲しい。

今日限りのものだから、また次の日を生きるために「いつも探す」ことになってしまいます。

ネオンと喧騒は新宿の街並みの様子。

「繕う」は何か欠損している箇所を補修すること。現実には起こりえないことをあるかのように思い浮かべるのが幻想、言い換えれば、思い浮かべていることは絶対に起こりません。

理想と現実との違い。

その点で少し欠けていると捉えているのでしょうか。

Aメロには、どうか自分の想いが届いて欲しいという願いが込められています。

次は想い焦がれている相手の登場です。

 

少し先回って 偶然のふりまでしてとおせんぼ

その微笑みの意味は何?

潰れるほど目を 凝らしたって心はかくれんぼ

叶うならば ただ知りたくて

偶然を装ってとおせんぼしてまで青年のことを引き止めたい。気を引きたい。

健気で可愛い主人公が表現されています。

しかし、青年の微笑みの意味は分かりません。自分に好意を持っているからなのか、はたまた他の女性に向けている表情と同じく量産されたものなのか。

目が潰れるほどじっと見つめてみても、本当の気持ちなんて分からない。隠れてしまいます。

叶うならばただ知りたい。つまり、今は叶っていない。先述した「桜散る」が「願いが叶わない」を暗示することと関係しているように思えます。

 

あなたの目にはどう映っているの?

夜行性は あなたのせい

同じ言葉も無いから

見下ろす目に

届かない距離を知ったの

猫は薄明薄暮性といい、通常は早朝や夕暮れの薄暗い時間帯に最も活発に動く動物です。

しかし、好意を寄せる相手に会うためだけに夜に活動している主人公。

同じ言葉を使えないから、「あなたの目にはどう映っているの?」「私のことどう思っているの?」と聞けないけれど、見下ろす目に相手との違い、届かない存在であることを感じました。

 

夜に飽いては 朝が起きて

また退屈がもどかしいの

あの薄紅より 綺麗に咲きたくて

淀んだ景色が 綯い交ぜに揺れる

夜が明けて朝が訪れると、あなたに会えないので退屈でじれったい。

「薄紅」=桜でしょうか。桜のように美しい女性より綺麗に咲きたい、自分の想いが届いて欲しいと思っています。

一方で淀むというマイナスなイメージのある表現。「止まって動かない」の意味であれば朝なので人がいない様子を表していて、「順調に進まない」の意味であればこの恋がうまくいっていないことを表します。

「綯い交ぜ」とは異なるものをまぜ合わせて一緒にすること。ネオン(光)や喧騒(音)の入り乱れる街=視覚的に異なるもの。自分と相手の大きさの違う想い=感情的に異なるもの。

見えるもの見えないもの、色々なものがぐしゃぐしゃになった後に揺れたのは、涙が原因なのではないかと思います。

 

誰かが笑顔なんて 呼んだものを真似してみたけれど

もう水面はぼやけたまま

表情とやらも きっとあなたには伝わらないの

わかりきってる 冷酷なほど

笑顔と呼ばれるものを真似してみても水面はまだぼやけています。「けれど」は逆接なので笑顔と対になる言葉を考えると、涙。

涙が水面・視界をぼやけさせているのではないでしょうか。

「〜たまま」ということはその前にもぼやけてしまう出来事があったということ。やはり、綯い交ぜに揺れたのも涙のせいなのかな、と思います。

人間が、何とも思っていない猫の表情を読み取ることはできません。笑顔が伝わらないだけでなく、その後の「涙を浮かべるほど悲しくなった」という気持ちも伝わらないのでしょう。

今までの歌詞に出てきたように、主人公は届かなくて辛い思いを何度も痛感しています。そのため「わかりきってる」という強い表現になっており、主人公の気持ちを考えると胸が痛みます。

 

あなたの目にはどう映っているの?

この声が恨めしいわ

同じ言葉をください

擦り潰そうと 一文字も伝えられない

「あなたはどう思っているの?」と聞くだけでなく、自分の想いを伝えたいのでしょうか。

しかし、どれどけ頑張ってもただ「ニャー」と出るだけ。一文字も伝えることのできない自分のこの声が恨めしくてたまりません。

 

一目瞭然 滑稽な 間違い探しだってわかってる なのに心だけはずっと見えないままで

「心だけ」は見えないということから内面と対になるものを考えると、外見の間違い探しができるということ。猫である私と人間のあなたが違う体をしているということは、まさしく滑稽なほどに一目瞭然です。

しかし、心の中はいつまでたっても見ることができず、相手の気持ちが分かりません。

「見えないまま」ではなく「見えないままで」で終わっているのは、見えないからといって諦めることはできず「だからまた今日もあなたを求めてしまう」というような言葉が続くと思われます。

(「だけどまた今日も〜」の方が意味は通じるのですが逆接の連続になってしまうため接続詞が迷子です!)

 

あなたの目にはどう映っているの?

夜行性は あなたのせい

同じ身体じゃないから

前足なんかじゃ あなたと踊れない

言葉一つだけ交わせたなら

それ以上は いらないのに

今日も声一つ無く 駅へ消える

あなたをまた止められない

 

届かない

「踊る」というのは言葉そのままの意味もありながら、夜に男女が踊る、と考えてみると性的な意味も含まれているのかなと思います。自分じゃどんなに着飾ってもあの綺麗な女性には敵わない、といった悲しみが感じられます。

言葉一つ交わせたならそれ以上はいらないのに今日も声一つありません。声一つないのは主人公が言葉を発することができないだけでなく、青年もまた同じく猫に声をかけないということ。しゃがむ仕草があったり微笑んでくれたりするのに言葉はない。青年には猫、つまり少女への気持ちがない、ということが読み取れます。

曲はもう終わって後は音楽だけと思っているところに発せられる「届かない」。テキストに背景がなく今までのものと異なるため、白文字が絵に溶け込んでいるものの強調されているのではないかと感じられます。

1番2番も共通した部分があり、「届かない距離を知ったの」「一文字も伝えられない」。MVにずっと描写されている「桜散る」の意味と関連する歌詞になっています。

 

 

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 最後に

今までるぅとくんの作った曲はほぼ男性目線のものです。また、大きく描かれているのは男性なのでMVに出てくる男性が主人公、と捉えた方も多いと思います。

猫に置き換えてられているのが未成年の少女だと私が考えた理由は、「非行」の他に2点あります。

まず、「知ったの」「もどかしいの」「伝わらないの」「恨めしいわ」といった歌詞に女性の言葉遣いを感じさせられました。

次に、「とおせんぼ」「かくれんぼ」「間違い探し」。とおせんぼは両手を広げて道をふさぎ、人が通れないようにする子どもの遊び。かくれんぼも同じく子どもの遊びです。そして、レストランのキッズメニューにまちがいさがしがあったりしますよね。どれも幼いイメージを抱きます。

色々な要素から、未成年の少女だと考えました。

夜の街に出て行くことのできる年齢なのですごく幼いというわけではありませんが、子どもの遊びの名称を取り入れることによって舞台のイメージとの差が出るため、「届かない」ことがより強調されます。

 

なぜ「間違い探し」だけ漢字なのか?

とおせんぼとかくれんぼは、2つとも同じ部分(1番Bメロ)に出てきます。その後「間違い探し」が出てくる時と何が違うのかを考えます。

見下ろす目に届かない距離を知った。綺麗に咲きたいけれど自分には敵わなくて涙が出た。擦り潰そうと一文字も伝えられなかった。

自分の想いは届かない、と「冷酷なほどにわかりきって」しまったのです。

果たしてそこまでにどのくらいの月日が経ったのかは分かりません。数週間、数ヶ月が経っているのかもしれないし、はたまた数日という短い期間かもしれません。

その間に様々な思いを経験した少女の心は大人に近づいてきている、ということが表現されているのではないかと思います。

心が大人になったとしても見た目は薄紅の女性に追いつけないので恋は実らない。そう考えると胸が苦しくなります。

 

 

また、「間違い探し」の歌詞があるCメロでは夜空が映し出されており、そこにあるのは三日月、ではなく逆三日月です。

夜空を描いてと言われたら無意識のうちに三日月もしくは満月を描く、という方は多いのではないでしょうか。(私のように左利きの場合は逆向きが描きやすいのですが、左利き自体少数派なので…)

月には「女性の美しさ」「優しさ」という桜の花言葉と似たような意味があります。中でも三日月はだんだんと満ちて満月に近づく様子から、「物事の始まり」を意味する特別なものとされているそうです。また、三日月を見ると幸運に恵まれるという言い伝えから、「願いが叶う」お守りとされます。

反対の意味にすると「物事の終わり」「願いが叶わない」。「桜散る」以外にも主人公と青年の関係が表現されている、ということになります。

 

 

「わかりきってる 冷酷なほど」という歌詞に少女の心の声が最も現れているように感じ、私の中で一番印象の強い歌詞となりました。

その次に気になったのが落ちサビ。相手と結ばれるかどうかではなく、「言葉一つ交わせたならそれ以上はいらない」と少女は言います。ここを聞いて美しい恋だなと感じました。

一途な想いは青年に届きませんが、夜桜と同じく、比べられる対象が暗いからこそその美しさが際立つのかもしれません。

好きです!僕も好き!やったー!より想いの強さが伝わりませんか…?

ただ、伝わらないと分かりきっているのにいつも探して引き止めて、というのは少し怖い感じもします。しかし舞台のイメージや桜の散る美しさによって、それが昇華されているのではないかと思います。

 

 

少女と青年との縮まらない距離を、猫と青年の大きな違いに例える。

ただの猫の曲というわけではない」だけでなく、「ただの恋の曲」でもありませんでした。

以前は自分の感じたことをストレートに表現していたるぅとくんですが、想像の中の物語をこんなにも美しく表現しています。MIXや音作りも進化し色々なサウンドが聴こえるので、歌だけでなく音の幅もぐんと広がっているのではないでしょうか。

それに、等身大の言葉を並べていた歌詞が今ではお酒や道化師、それにまつわる歴史、夜の街などに関連した言葉をたくさん盛り込んだ歌詞になっています。

もちろん前者は「こんなこと考えてたんだ!」や「そうだよね、こういうこと一緒に経験したよね」など、感じるものが多かったのですごくすごく好きです。両手で掬って宝箱にしまっておきたくなるほど、優しくて可愛くてキラキラと輝いている音楽です。

しかし、そういった曲は今自分を応援してくれているファンに向けて想いを込めたものなので、「この曲きっかけでるぅとくんを気になって色々と聴いてみる」という人を増やすには別の視点が必要なのでは…?と個人的に思っていました。

そしたら、まだこんなにも才能を秘めていたーーー!るぅとくんそういう子だもんね!

普段落ち込んでる様子見せなかったから気にしてないのかなと思ったら大事なお話の枠とってボロボロ泣いちゃうし、何かを始めてる様子感じさせなかったのに完成したと同時に曲作り挑戦しました!って発表するし。今でもめちゃめちゃに大きいものを持っているのでは??

 

 

この曲を一言で言うと、美しい。

今までになかったもの。

また更新したみたいです。

言葉のセレクトや登場人物の心の中、テーマ、描写など多岐にわたる対比が、それぞれに持っている様々な「美しさ」を際立たせています。

 

るぅとくんってすごいなあ〜と日々感じる。

応援できて幸せですね。

 

 

みんなはどんな曲が好きなんだろう?これじゃ微妙かな?僕のイメージと違うかな?と悩むことが多かったるぅとくんが、アルバム『君と僕の秘密基地』を終えて「自分の作りたいもの」を見つけたこと、本当に嬉しく思います。

新しい一面見られて楽しいよ〜!これからもどんどん新しくなるるぅとくんを見たいよ〜!

新しくあり続けようとするのは大変でいつか疲れてしまうので、あくまでも「新しいるぅとくん」は大歓迎なのを伝えたいということです。

 

これからもあなたの音楽を楽しみにしています!

 

 

 

またも長い文章にお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

もう一度宣伝しておきますね(っ'~')っ

【MV】夜桜非行 / るぅと【すとぷり】 - YouTube

 

今回はここまで。かしこ。

 

 

7ヶ月ぶりの新曲「ジェスター」歌詞解釈 〜偽りじゃなく本当の僕を〜

2020年5月16日(土)

久しぶりのオリジナル曲が投稿されました。待ちに待ってた!!!ドンドンパンパーン!!

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【MV】ジェスター / るぅと【すとぷり】【MV】ジェスター / るぅと【すとぷり】 - YouTube

 

一言でいうとダークな曲。薄暗い地下で闇を抱えながら踊る男の子。

 

同じYouTubeの中でカバーなら

▶︎ お気に召すまま 歌ってみた Ver.るぅとお気に召すまま 歌ってみた Ver.るぅと - YouTube

▶︎ 猫猫的宇宙論 / るぅと 【cover】猫猫的宇宙論 / るぅと 【cover】 - YouTube

オリジナル曲なら

▶︎【MV】君と僕のストーリー / るぅと【オリジナル】https://youtu.be/e-Ig4kAsqq0

前者は爽やか×かわいいのコラボレーションで歌声・表現の幅を、後者は今回の新曲とは反対に煌めき100%となっておりサウンドの幅を感じられます。ストレートな歌詞もこの曲ここに込めた意味ならでは。

 

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ツイートだと遡れないし文字数はんぱなくて収まらないし…

ということで自分の記録用としてまとめているだけです。本当に込められた意味と違っているところもきっとあります。なのでどうか温かい目で見てもらえたら。

最後には各用語の意味も載っていますので、1つずつ調べるのが大変な方は参考にどうぞ。

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ジェスターってどんな曲?(本人談)

今回の曲は、子どもの頃に感じたことを深く掘り下げてストーリー仕立てにしたもの。

 

るぅとくんの幼少期といえば、将来の夢さえも周りに合わせていた日々。周りにどう思われるのかを気にして殻にこもり、「普通でいること」が普通。

自分の気持ちを口に出すことができなくなっていました。

 

「本当の自分を知られたら嫌われるんじゃないか」

そんな思いから本当の自分を隠すために仮面をかぶり、偽りの自分をつくりあげた。

というお話を発展させて、ある男の子が道化師になってしまった曲にした。

と捉えることができるのかな?

 

 

ジェスター…宮廷道化師

フール(fool)ブッフォン(buffon)、アルレッキーノアルルカン、ハーレクイン)など道化師を指す言葉はさまざまある。

一般に宮廷道化師と訳されるジェスターは、フランス語のgest(偉業)を語源とし、宮廷人に英雄譚を語り聞かせた者から派生した。

中世の宮廷道化師たちは、物語を語ったり、歌や音楽、アクロバットやジャグリング、奇術など様々な芸を披露して楽しませてきた。また、おどけた調子で芸を披露し、当時の事柄や人物を笑いにした歌や話を創作した。

宮廷道化師の仕事は、その名の通りの主人または周囲の人物達を楽しませる役割を担っていた。また、小人症などの肉体的障害を持っているものが多く、笑い物としての対象にされていた

 

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ジェスター」

作詞:るぅと、TOKU

作曲:るぅと、松

編曲:松

映像:水呑朔(アシスタント:しがき)

 

笑え マイネームイズフール

ババ抜きのジョーカー

ああ悲しいや 成れないや ワンペアには

笑ってくれ。僕の名前は道化師。

まるでババ抜きでペアになれずに残ってしまうジョーカーみたい。1人なんだ。悲しいんだ。

 

そうさ マイネームイズフール

誰も居なくなってしまったよ

なあ後悔の味はどうだい?

仕様もない

そうさ僕の名前は道化師。自分を偽っていたら周りに誰も居なくなってしまった。

───「ねえ、後悔した気分はどうだい?」

ばかばかしいな。

 

僕ら友達だろ?

なんて言えやしないや

一歩引いた定位置 きっと関係性は停止

どっちでも良い 並ばせてよ

君らどちらかの居場所を奪いたい 居たい

痛いくらい 食らいたい

僕ら友達だろ?なんて気軽に言えやしなくて、2人から一歩引いた所が自分の定位置になっている。その時点できっと関係性は停止しているね。強引にでも「隣に居ること」に食らいついて、君たちのどちらかの場所を奪ってしまいたい。

ねえ僕も並ばせてよ。

 

心の故など知らないがどうやら

やけに塩気に塗れて食えない

混ざり切れなけりゃ

離れもできずに

一滴垂らした油が浮いてる

なぜそう感じるのか理由など分からないけれど、奪いたいと思うのに奪うことができない自分がいる。(奪われた子の気持ちを考えると奪えない の話は?なのでこの解釈は微妙)

2人の話に混ざることもできなければ1人になるのが嫌で離れることもできない。

楽しそうな会話をしている中そんなことを考えている僕は、まるで水に一滴垂らした油のように溶けきれず、この空気から浮いてしまう。

 

だから マイネームイズフール

僕のことを見て

ああ虚仮威し 褒めそやし 茶番にスポットライト

化かせ マイネームイズフール

さんざ眼下眩む アンダーグラウンド

奇天烈に踊り一人 道理 ロンリー

僕は道化師。どうか僕のことを見て。

しきりに褒めているけど中身は空っぽ。底の見え透いた下手な芝居だな。仮面を被った僕にみんなは注目してくれている。

僕は楽しい人だと皆をだましてしまえ。

だけど見下ろしてみると辺り一体は暗くて、結局は孤独なんだ。地下で1人変わった踊りをしているだけ。

 

戯け道化 そこで頭 垂れて

ワンツースリーでステップ

恐れ慄けよエンド

なんてお寒い天丼

御退け御退け 惚け呆け

馬鹿にしないでミスター

欠落して根腐る ハイな怠惰飽いたライアー

滑稽なことを言って笑わせ、へりくだって相手に謙虚な振る舞いをして、3ステップを踏んで踊ることで人を楽しませる。(=道化師のような役)

恐怖心を抱き、その恐怖心から身体が震え、終わりを迎える。同じことを繰り返すなんて面白くない。

後ろへ下がれ下がれと言ったりしらばくれたりぼんやりとする。ねえ馬鹿にしないでよ、僕を見ているそこの君。

自分に必要なものは足りなくて機能しなくなる。道化師として働き続けること(本来の自分を見失っている状態)に満足してしまっている、なんて嘘つきの僕。

 

好奇の故の興味など不条理だ

先祖も草葉の陰でゲラゲラ ※本人お気に入り

珍しいものを見たからといって興味を持つのは常識に反している。そんな現代人と同様、亡くなった方々も僕のことをお墓の下でゲラゲラと笑っているよ。

 

全部さ気にしてるさ 全部さ響いてるさ

孤独とはこうも静かでさ

周りの人達が発する言葉は全て気にしている、頭の中に心の中に嫌という程響いている。それほど孤独って静かなんだ。やめて。

そんな目で見ないで。笑わないで。

 

世界の創始者

そんなものが居るとしたら

きっとこの世の誰彼より

腕の立つような

名うてのペテンじゃないかな

ねえ神様?

世界の創始者なんてものが居るのだとしたらさ、それはきっと僕よりも、この世にいる誰よりも腕前の優れている有名な詐欺師なんじゃないかな。

ねえ神様?あなたはそうなんでしょう?

 

マイネームイズフール

見世物小屋だった

虚偽のユーフォリア 言う通りだ ユートピアじゃない

そうさ マイネームイズフール

誰も居なくなってしまったよ

なあ後悔の味はどうだい?

仕様もない

僕は愚か者。ここは見世物小屋だった。みんなが注目していたのは話や踊りに惹かれてじゃない、そういう意味からだったんだね。

───「虚偽のユーフォリアだよ」

君の言う通り、嘘偽りでできた根拠のない幸福だったんだ。理想郷のような素晴らしい場所なんかじゃない。

───「ねえ、後悔した気分はどうだい?」

ばかばかしいな。

 

マイネームイズフール

僕のことを見て

ああ虚仮威し 褒めそやし 茶番にスポットライト

そうさ マイネームイズフール

眼前判然なシャングリラ

もう二度と届きやしない

仕様もない

マイネームイズフール

鏡の奥見て

気付いちゃった気付いちゃった君は僕じゃない

そうさ マイネームイズフール

斯様 太陽無い退路

どうかきっと探さないでください...

僕は道化師であり愚か者。僕のことを見てよ。

目の前にはっきりと見える理想郷。でももう二度と届かない。

鏡に映った「君」を見て、「君」(僕が僕だと思っていた人)は仮面を被った偽物であって「本当の自分」ではないと気づいてしまったから。

結局は太陽のない、この地下が僕の逃げ道なんだ。

どうか偽りの僕にもう構わないで…

 

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✦ 個人的な感想

《 音楽・歌 》

ジャズ曲調、使っている楽器がおしゃれの一言。ジャズの特徴である裏拍だけど、観客の手拍子のようにも聞こえる。ショーを盛り上げているイメージ。

奥で鳴るリズム隊の土台感、左右でかき鳴らすギター。わあああ。

るぅとくんの曲ってベースがかっこいい。

 

「孤独とはこうも静かでさ」の後に突然、力強いピアノの音。静かだからこそより大きく聞こえるようになった、という意味も含まれてるのかな?

 

「マイネームイズフール 見世物小屋だった〜なあ後悔の味はどうだい?」は曲中で比べたら寂しさ辛さを感じさせる歌い方、そして嘲るような「仕様もない」

見世物となる恐怖から座り込んでしまっていたけれど問いかけをきっかけに道化師となることを選んだような感じ。次のシーンでは立って踊っている。

 

ところどころに散りばめられた囁きとセリフ、ずるい。

韻の踏み方、ずるい。

息の抜き方、程よく力抜いた高音、ずるい。

 

自分を偽るのをやめられないことへの「呆れ」、隣に並ぶことへの「黒い切望」、道化師でいることへの「疲れ」、孤独でいることの「辛さ」、孤独に気づいてしまった「絶望」。

1曲の中でたくさんの気持ちが聞こえてくる。表現力。

 

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《 歌詞 》

初めは様々な芸をして観客を楽しませてきた道化師だが、だんだんと分かってきたのは笑い物の対象にされていたこと。

「恐れ慄けよエンド なんてお寒い天丼」

見世物として注目されたいたことに怯えて(恐れ)うずくまり(慄く)暗い退路を行く(エンド)

最後消えていくシーンの背景が黒で、巻き戻ったら最初も同じく黒。ここの繋がりってあるのでしょうか?この繰り返しも天丼に入るのかな?と思ったりもしました。

むずかしいです。とても。

 

同じ理想郷を指すユートピアとシャングリラ。目の前にはっきりと見えているという違いから落ちサビではシャングリラを用いているところが おお…となりました(小並感)。

 

「気付いちゃった気付いちゃった」おどけている言い回しがピエロのよう。いつのまにか「僕」は道化師を受け入れてしまっていた、無意識のうちに道化師になってしまっていたのかな。

良く見せようと作り上げた「自分」は空っぽ。周りに合わせて取り繕った偽りの自分で好きになってもらえることもあるけれど、その幸せも偽りであって本当の幸せではない。「幸せ」とは何か見えているのに手が届かない。深い。

 

最後はどうかきっと探さないでください…と言って暗闇に消える。

るぅとくんは自分の言うことには「絶対」と宣言し、相手にお願いするときは「きっと」を使います。強制ではなく「そうしたいと感じたらそうしてほしい」という思いから。1人の道化師のお話とはいっても、こういった部分にるぅとくんの優しさが出ているなあと感じます。

また、孤独が嫌だとはいっても誰かの居場所を奪って孤独を味あわせるのではなく自ら暗い方へと進んで行く。

「やけに塩気に塗れて食えない」の回収かな?

道化師でいることは孤独で苦痛と知ってしまったのに初めから心の優しさは変わらず、自分が道化師となる道を選ぶ主人公に胸を打たれました。好きになってしまう。

 

『拝啓、不平等な神様へ』

【MV】拝啓、不平等な神様へ / るぅと【オリジナル】 - YouTubeと同様に言葉選びのセンスがキラリと光り、バックミュージックのこだわりが存分に感じられる曲。

孤独は寂しい、辛い。だから好かれるために周りの望む通りに演じてみたけど本当の意味では心を交わらせることができない。

誰かに気づいてほしい、偽りじゃなく本当の僕を見てほしい。

暗いイメージの言葉を「心の叫び」として力強いものにしているこの曲。素敵としかいいようがない…!

 

漢字が(ちょっぴり)苦手なるぅとくんが同じ意味の言葉をいくつもかき集め、その中から韻を踏めるものを選ぶ。テーマに合わせて曲調を決め音作り、作詞、作曲、編曲、録音、MV依頼、mix、エンコ。他にも膨大な時間がかかっているはず…

贅沢すぎる3:34です。わたしの語彙力では語りきれませんでした。

 

 

かしこ。

 

 

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・Yahooニュース

コメント付きですので見てない方は是非チェックを。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200516-00000704-bark-musi

 

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✦ 用語の意味

フール…愚か者。ばか者。だますこと。

仕様もない…くだらない。どうでもいい。ばかばかしい。

故…目的・目標。原因・理由。ため。

 

虚仮威し…愚か者を感心させる程度のあさはかな手段。外見は立派だが、中身はとてもくだらない脅し。

褒めそやす…しきりに誉めること、または徹底的に誉めること。

茶番…底の見えすいた、下手な芝居。ばかげた振る舞い。茶番劇。

眼下…見下ろした辺り一帯。

眩む…めまいがする。暗くなる。

奇天烈…非常に不思議なこと、非常に変わっていること。


戯ける…滑稽なことを言ったり、したりする。ふざける。道化。

道化…人を笑わせるおかしなしぐさや言葉。

頭垂れる…頭を前に下げる様子。へりくだったり、相手に敬意を表したりして、謙虚な振る舞いをするさまを意味する表現。

恐れる…危険を感じて不安になる。恐怖心を抱く。

慄く…恐怖や興奮などで身体が震える思いをする。身体をわななかせる。戦慄する。

エンド…終わり。最後。結末。

天丼…同じギャグやボケを二度、三度と繰り返して笑いをとる手法。余り間を置かずに畳み掛けるように使ったり、他者のボケに乗っかる形で重ねることも。(お笑い用語)

惚ける…わざと知らないふりをする。しらばくれる。

呆ける…ぼんやりと気が抜けた状態。

欠落する…あるべきものが足りなくなること。必要なものが存在しないさま。

根腐れ…植物栽培において必要以上に水を与え続けて根が腐り、機能を完全に失うこと。

怠惰…すべきことを怠けていること、だらしない様子。キリスト教でいえば逆の意味。7つの大罪の一つ。宗教上の安息日にさえ働き続ける人間像を指しており、本来の自分の姿を見失っていることを戒めた言葉が由来となっている。

飽いた…「飽く」の意味に同じ。

 

好奇…珍しいことや未知のことに対して強く興味をもつこと。

不条理…不合理であること、あるいは常識に反していることを指す。

草葉の陰…墓の下。あの世。

 

誰彼…不定称の人代名詞。特定しない複数の人をいう語。あの人、この人。

腕の立つ…腕前・技術がすぐれている。

名うて…ある方面で名前がよく知られていること。評判が高いこと。

ペテン…人を欺き騙すこと。

 

見世物小屋…珍奇さや禍々しさ、猥雑さを売りにして、日常では見られない品や芸、獣や人間を見せる小屋掛けの興行である。

虚偽…真実ではないのに、真実のように見せかけること。

ユーフォリア…根拠のない過度の幸福感。

ユートピア…理想郷。素晴らしく良い場所であるがどこにもない場所。

 

眼前…目の前のすぐのところ。

判然…はっきりとしているさま。

シャングリラ…理想郷。地上にあるという点でユートピアと異なる。

斯様…このよう。このとおり。