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7ヶ月ぶりの新曲「ジェスター」歌詞解釈 〜偽りじゃなく本当の僕を〜

2020年5月16日(土)

久しぶりのオリジナル曲が投稿されました。待ちに待ってた!!!ドンドンパンパーン!!

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【MV】ジェスター / るぅと【すとぷり】【MV】ジェスター / るぅと【すとぷり】 - YouTube

 

一言でいうとダークな曲。薄暗い地下で闇を抱えながら踊る男の子。

 

同じYouTubeの中でカバーなら

▶︎ お気に召すまま 歌ってみた Ver.るぅとお気に召すまま 歌ってみた Ver.るぅと - YouTube

▶︎ 猫猫的宇宙論 / るぅと 【cover】猫猫的宇宙論 / るぅと 【cover】 - YouTube

オリジナル曲なら

▶︎【MV】君と僕のストーリー / るぅと【オリジナル】https://youtu.be/e-Ig4kAsqq0

前者は爽やか×かわいいのコラボレーションで歌声・表現の幅を、後者は今回の新曲とは反対に煌めき100%となっておりサウンドの幅を感じられます。ストレートな歌詞もこの曲ここに込めた意味ならでは。

 

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ツイートだと遡れないし文字数はんぱなくて収まらないし…

ということで自分の記録用としてまとめているだけです。本当に込められた意味と違っているところもきっとあります。なのでどうか温かい目で見てもらえたら。

最後には各用語の意味も載っていますので、1つずつ調べるのが大変な方は参考にどうぞ。

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ジェスターってどんな曲?(本人談)

今回の曲は、子どもの頃に感じたことを深く掘り下げてストーリー仕立てにしたもの。

 

るぅとくんの幼少期といえば、将来の夢さえも周りに合わせていた日々。周りにどう思われるのかを気にして殻にこもり、「普通でいること」が普通。

自分の気持ちを口に出すことができなくなっていました。

 

「本当の自分を知られたら嫌われるんじゃないか」

そんな思いから本当の自分を隠すために仮面をかぶり、偽りの自分をつくりあげた。

というお話を発展させて、ある男の子が道化師になってしまった曲にした。

と捉えることができるのかな?

 

 

ジェスター…宮廷道化師

フール(fool)ブッフォン(buffon)、アルレッキーノアルルカン、ハーレクイン)など道化師を指す言葉はさまざまある。

一般に宮廷道化師と訳されるジェスターは、フランス語のgest(偉業)を語源とし、宮廷人に英雄譚を語り聞かせた者から派生した。

中世の宮廷道化師たちは、物語を語ったり、歌や音楽、アクロバットやジャグリング、奇術など様々な芸を披露して楽しませてきた。また、おどけた調子で芸を披露し、当時の事柄や人物を笑いにした歌や話を創作した。

宮廷道化師の仕事は、その名の通りの主人または周囲の人物達を楽しませる役割を担っていた。また、小人症などの肉体的障害を持っているものが多く、笑い物としての対象にされていた

 

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ジェスター」

作詞:るぅと、TOKU

作曲:るぅと、松

編曲:松

映像:水呑朔(アシスタント:しがき)

 

笑え マイネームイズフール

ババ抜きのジョーカー

ああ悲しいや 成れないや ワンペアには

笑ってくれ。僕の名前は道化師。

まるでババ抜きでペアになれずに残ってしまうジョーカーみたい。1人なんだ。悲しいんだ。

 

そうさ マイネームイズフール

誰も居なくなってしまったよ

なあ後悔の味はどうだい?

仕様もない

そうさ僕の名前は道化師。自分を偽っていたら周りに誰も居なくなってしまった。

───「ねえ、後悔した気分はどうだい?」

ばかばかしいな。

 

僕ら友達だろ?

なんて言えやしないや

一歩引いた定位置 きっと関係性は停止

どっちでも良い 並ばせてよ

君らどちらかの居場所を奪いたい 居たい

痛いくらい 食らいたい

僕ら友達だろ?なんて気軽に言えやしなくて、2人から一歩引いた所が自分の定位置になっている。その時点できっと関係性は停止しているね。強引にでも「隣に居ること」に食らいついて、君たちのどちらかの場所を奪ってしまいたい。

ねえ僕も並ばせてよ。

 

心の故など知らないがどうやら

やけに塩気に塗れて食えない

混ざり切れなけりゃ

離れもできずに

一滴垂らした油が浮いてる

なぜそう感じるのか理由など分からないけれど、奪いたいと思うのに奪うことができない自分がいる。(奪われた子の気持ちを考えると奪えない の話は?なのでこの解釈は微妙)

2人の話に混ざることもできなければ1人になるのが嫌で離れることもできない。

楽しそうな会話をしている中そんなことを考えている僕は、まるで水に一滴垂らした油のように溶けきれず、この空気から浮いてしまう。

 

だから マイネームイズフール

僕のことを見て

ああ虚仮威し 褒めそやし 茶番にスポットライト

化かせ マイネームイズフール

さんざ眼下眩む アンダーグラウンド

奇天烈に踊り一人 道理 ロンリー

僕は道化師。どうか僕のことを見て。

しきりに褒めているけど中身は空っぽ。底の見え透いた下手な芝居だな。仮面を被った僕にみんなは注目してくれている。

僕は楽しい人だと皆をだましてしまえ。

だけど見下ろしてみると辺り一体は暗くて、結局は孤独なんだ。地下で1人変わった踊りをしているだけ。

 

戯け道化 そこで頭 垂れて

ワンツースリーでステップ

恐れ慄けよエンド

なんてお寒い天丼

御退け御退け 惚け呆け

馬鹿にしないでミスター

欠落して根腐る ハイな怠惰飽いたライアー

滑稽なことを言って笑わせ、へりくだって相手に謙虚な振る舞いをして、3ステップを踏んで踊ることで人を楽しませる。(=道化師のような役)

恐怖心を抱き、その恐怖心から身体が震え、終わりを迎える。同じことを繰り返すなんて面白くない。

後ろへ下がれ下がれと言ったりしらばくれたりぼんやりとする。ねえ馬鹿にしないでよ、僕を見ているそこの君。

自分に必要なものは足りなくて機能しなくなる。道化師として働き続けること(本来の自分を見失っている状態)に満足してしまっている、なんて嘘つきの僕。

 

好奇の故の興味など不条理だ

先祖も草葉の陰でゲラゲラ ※本人お気に入り

珍しいものを見たからといって興味を持つのは常識に反している。そんな現代人と同様、亡くなった方々も僕のことをお墓の下でゲラゲラと笑っているよ。

 

全部さ気にしてるさ 全部さ響いてるさ

孤独とはこうも静かでさ

周りの人達が発する言葉は全て気にしている、頭の中に心の中に嫌という程響いている。それほど孤独って静かなんだ。やめて。

そんな目で見ないで。笑わないで。

 

世界の創始者

そんなものが居るとしたら

きっとこの世の誰彼より

腕の立つような

名うてのペテンじゃないかな

ねえ神様?

世界の創始者なんてものが居るのだとしたらさ、それはきっと僕よりも、この世にいる誰よりも腕前の優れている有名な詐欺師なんじゃないかな。

ねえ神様?あなたはそうなんでしょう?

 

マイネームイズフール

見世物小屋だった

虚偽のユーフォリア 言う通りだ ユートピアじゃない

そうさ マイネームイズフール

誰も居なくなってしまったよ

なあ後悔の味はどうだい?

仕様もない

僕は愚か者。ここは見世物小屋だった。みんなが注目していたのは話や踊りに惹かれてじゃない、そういう意味からだったんだね。

───「虚偽のユーフォリアだよ」

君の言う通り、嘘偽りでできた根拠のない幸福だったんだ。理想郷のような素晴らしい場所なんかじゃない。

───「ねえ、後悔した気分はどうだい?」

ばかばかしいな。

 

マイネームイズフール

僕のことを見て

ああ虚仮威し 褒めそやし 茶番にスポットライト

そうさ マイネームイズフール

眼前判然なシャングリラ

もう二度と届きやしない

仕様もない

マイネームイズフール

鏡の奥見て

気付いちゃった気付いちゃった君は僕じゃない

そうさ マイネームイズフール

斯様 太陽無い退路

どうかきっと探さないでください...

僕は道化師であり愚か者。僕のことを見てよ。

目の前にはっきりと見える理想郷。でももう二度と届かない。

鏡に映った「君」を見て、「君」(僕が僕だと思っていた人)は仮面を被った偽物であって「本当の自分」ではないと気づいてしまったから。

結局は太陽のない、この地下が僕の逃げ道なんだ。

どうか偽りの僕にもう構わないで…

 

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✦ 個人的な感想

《 音楽・歌 》

ジャズ曲調、使っている楽器がおしゃれの一言。ジャズの特徴である裏拍だけど、観客の手拍子のようにも聞こえる。ショーを盛り上げているイメージ。

奥で鳴るリズム隊の土台感、左右でかき鳴らすギター。わあああ。

るぅとくんの曲ってベースがかっこいい。

 

「孤独とはこうも静かでさ」の後に突然、力強いピアノの音。静かだからこそより大きく聞こえるようになった、という意味も含まれてるのかな?

 

「マイネームイズフール 見世物小屋だった〜なあ後悔の味はどうだい?」は曲中で比べたら寂しさ辛さを感じさせる歌い方、そして嘲るような「仕様もない」

見世物となる恐怖から座り込んでしまっていたけれど問いかけをきっかけに道化師となることを選んだような感じ。次のシーンでは立って踊っている。

 

ところどころに散りばめられた囁きとセリフ、ずるい。

韻の踏み方、ずるい。

息の抜き方、程よく力抜いた高音、ずるい。

 

自分を偽るのをやめられないことへの「呆れ」、隣に並ぶことへの「黒い切望」、道化師でいることへの「疲れ」、孤独でいることの「辛さ」、孤独に気づいてしまった「絶望」。

1曲の中でたくさんの気持ちが聞こえてくる。表現力。

 

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《 歌詞 》

初めは様々な芸をして観客を楽しませてきた道化師だが、だんだんと分かってきたのは笑い物の対象にされていたこと。

「恐れ慄けよエンド なんてお寒い天丼」

見世物として注目されたいたことに怯えて(恐れ)うずくまり(慄く)暗い退路を行く(エンド)

最後消えていくシーンの背景が黒で、巻き戻ったら最初も同じく黒。ここの繋がりってあるのでしょうか?この繰り返しも天丼に入るのかな?と思ったりもしました。

むずかしいです。とても。

 

同じ理想郷を指すユートピアとシャングリラ。目の前にはっきりと見えているという違いから落ちサビではシャングリラを用いているところが おお…となりました(小並感)。

 

「気付いちゃった気付いちゃった」おどけている言い回しがピエロのよう。いつのまにか「僕」は道化師を受け入れてしまっていた、無意識のうちに道化師になってしまっていたのかな。

良く見せようと作り上げた「自分」は空っぽ。周りに合わせて取り繕った偽りの自分で好きになってもらえることもあるけれど、その幸せも偽りであって本当の幸せではない。「幸せ」とは何か見えているのに手が届かない。深い。

 

最後はどうかきっと探さないでください…と言って暗闇に消える。

るぅとくんは自分の言うことには「絶対」と宣言し、相手にお願いするときは「きっと」を使います。強制ではなく「そうしたいと感じたらそうしてほしい」という思いから。1人の道化師のお話とはいっても、こういった部分にるぅとくんの優しさが出ているなあと感じます。

また、孤独が嫌だとはいっても誰かの居場所を奪って孤独を味あわせるのではなく自ら暗い方へと進んで行く。

「やけに塩気に塗れて食えない」の回収かな?

道化師でいることは孤独で苦痛と知ってしまったのに初めから心の優しさは変わらず、自分が道化師となる道を選ぶ主人公に胸を打たれました。好きになってしまう。

 

『拝啓、不平等な神様へ』

【MV】拝啓、不平等な神様へ / るぅと【オリジナル】 - YouTubeと同様に言葉選びのセンスがキラリと光り、バックミュージックのこだわりが存分に感じられる曲。

孤独は寂しい、辛い。だから好かれるために周りの望む通りに演じてみたけど本当の意味では心を交わらせることができない。

誰かに気づいてほしい、偽りじゃなく本当の僕を見てほしい。

暗いイメージの言葉を「心の叫び」として力強いものにしているこの曲。素敵としかいいようがない…!

 

漢字が(ちょっぴり)苦手なるぅとくんが同じ意味の言葉をいくつもかき集め、その中から韻を踏めるものを選ぶ。テーマに合わせて曲調を決め音作り、作詞、作曲、編曲、録音、MV依頼、mix、エンコ。他にも膨大な時間がかかっているはず…

贅沢すぎる3:34です。わたしの語彙力では語りきれませんでした。

 

 

かしこ。

 

 

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・Yahooニュース

コメント付きですので見てない方は是非チェックを。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200516-00000704-bark-musi

 

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✦ 用語の意味

フール…愚か者。ばか者。だますこと。

仕様もない…くだらない。どうでもいい。ばかばかしい。

故…目的・目標。原因・理由。ため。

 

虚仮威し…愚か者を感心させる程度のあさはかな手段。外見は立派だが、中身はとてもくだらない脅し。

褒めそやす…しきりに誉めること、または徹底的に誉めること。

茶番…底の見えすいた、下手な芝居。ばかげた振る舞い。茶番劇。

眼下…見下ろした辺り一帯。

眩む…めまいがする。暗くなる。

奇天烈…非常に不思議なこと、非常に変わっていること。


戯ける…滑稽なことを言ったり、したりする。ふざける。道化。

道化…人を笑わせるおかしなしぐさや言葉。

頭垂れる…頭を前に下げる様子。へりくだったり、相手に敬意を表したりして、謙虚な振る舞いをするさまを意味する表現。

恐れる…危険を感じて不安になる。恐怖心を抱く。

慄く…恐怖や興奮などで身体が震える思いをする。身体をわななかせる。戦慄する。

エンド…終わり。最後。結末。

天丼…同じギャグやボケを二度、三度と繰り返して笑いをとる手法。余り間を置かずに畳み掛けるように使ったり、他者のボケに乗っかる形で重ねることも。(お笑い用語)

惚ける…わざと知らないふりをする。しらばくれる。

呆ける…ぼんやりと気が抜けた状態。

欠落する…あるべきものが足りなくなること。必要なものが存在しないさま。

根腐れ…植物栽培において必要以上に水を与え続けて根が腐り、機能を完全に失うこと。

怠惰…すべきことを怠けていること、だらしない様子。キリスト教でいえば逆の意味。7つの大罪の一つ。宗教上の安息日にさえ働き続ける人間像を指しており、本来の自分の姿を見失っていることを戒めた言葉が由来となっている。

飽いた…「飽く」の意味に同じ。

 

好奇…珍しいことや未知のことに対して強く興味をもつこと。

不条理…不合理であること、あるいは常識に反していることを指す。

草葉の陰…墓の下。あの世。

 

誰彼…不定称の人代名詞。特定しない複数の人をいう語。あの人、この人。

腕の立つ…腕前・技術がすぐれている。

名うて…ある方面で名前がよく知られていること。評判が高いこと。

ペテン…人を欺き騙すこと。

 

見世物小屋…珍奇さや禍々しさ、猥雑さを売りにして、日常では見られない品や芸、獣や人間を見せる小屋掛けの興行である。

虚偽…真実ではないのに、真実のように見せかけること。

ユーフォリア…根拠のない過度の幸福感。

ユートピア…理想郷。素晴らしく良い場所であるがどこにもない場所。

 

眼前…目の前のすぐのところ。

判然…はっきりとしているさま。

シャングリラ…理想郷。地上にあるという点でユートピアと異なる。

斯様…このよう。このとおり。